多店舗展開を計画している企業にとって、店舗開発の業務の重要性は大きくなっています。
条件のいい物件を見つけ、建物・立地を調査し、価格を交渉し、出店後の店舗運営の土台を築けるかどうか。
これらの要素は、出店する店舗の売上を左右します。
しかし、店舗開発に取り組みはじめたばかりであったり、またはこれからその業務に就く方だったりすると、求められる業務範囲が広く感じてしまいますよね。
そのため、店舗開発の仕事が敷居の高い職種のように感じたり、これから取り組むべき課題、求められるスキルがわからなかったりと、いろいろとわからないことが多いですよね。
そこで今回は、これから店舗開発・物件開発に取り組まれる方のために、店舗開発とは何か、その概要や業務内容を紹介していきます。
Contents
店舗開発の仕事は、収益物件の確保と開発
店舗開発は、「収益の上がる物件を見つけて、店舗を出店する」ために、関係各所に働きかけるの業務の一つ。
店舗が収益を上げられるように条件のいい物件や土地を調査したり、店舗の商圏を分析して売上を予測したり、その後の店舗の方向性を定めたりなどの業務をおこないます。
また、その業務領域は広く、不動産の知識や候補物件の調査、商圏の分析、売上予測、マーケティングのスキルなどが求められます。
この店舗開発の業務は、主に実店舗を持っている企業や業界での職種になります。
店舗開発の主な業務内容
こちらでは、前述でご紹介した業務内容を、分解して解説していきます。
物件・土地の調査
店舗開発の業務では、店舗を出店するための候補エリア、または候補となる物件・土地の調査、ピックアップを行います。
調査する際は、店舗の商圏エリアがどの程度の距離になるのかを把握し、その商圏エリアにどのような消費者が住んでいるのかを分析しなければなりません。
調査する際は、例えば
「六本木はお金の羽振りがよくお金持ちが集まる街」
「銀座はお金持ちも集まるが上品な街」
といった「主観的な情報」や「定性的な情報」ではなく、
具体的な情報、つまり男性・女性が〇km以内に何人住んでいるのか、家族世帯が〇km以内に何世帯ほど住んでいるのかなどの「定量的なデータ」が重要です。
商圏の分析
商圏は、店舗をかまえたときに、「店舗にお客様を集客できる範囲」のことを指します。
店舗の商圏に対して、ターゲットとなる消費者・ユーザーがどの程度住んでいるか、また来店する可能性のある消費者・ユーザーがどの程度いるのかなどを分析するときの重要な指標となります。
前述のような消費者のセグメントに加えて、実際に来店可能か、徒歩・自転車・車などの移動手段で来店するのか、または何分以内なら商圏になりえるか、自社・他社競合店との商圏のカニバリ具合などの情報も重要になります。
商圏を調査する際はエリアマーケティングツールで!
商圏を調査する際は、国税調査のデータを使って分析したり、会員データを分析し販売している企業からの情報などを使用します。得たデータは、エリアマーケティングツールに取り込んで、商圏を分析すると有効なデータが見られるでしょう。
エリアマーケティングツールは、国が提供しているツールから、企業が提供している有料のツールまでさまざまなタイプがありますので、自社にあったタイプを使用するといいでしょう。
社内への説明
調査・分析したデータがどれだけ有効か、所属する企業にとって有益な店舗になるかどうかなどを理解してもらうために、社内へのプレゼンが必要になります。プレゼンになるかは企業によって違うものの、社内で理解を得てもらう必要はあるでしょう。
そのため分析した情報をまとめて、どれだけ収益を上げられる店舗になるのかを、レポートとして社内に展開し、情報共有する必要があるでしょう。
物件のオーナーへの交渉・渉外
物件・土地にオーナーがいる場合、その店舗を出店した結果、どのようなメリットがあるのかを説明する必要があります。
説明する必要があるのは、店舗の概要から、集客した結果売上がどうなるのか、オーナーに対してどの程度金銭的なバックがあるのか、繁盛した場合の周辺地域への影響などです。
物件の形態によっては、他店舗へのプラス・マイナス要因も説明する必要があるでしょう。
店舗の内装・外装手配
店舗の外装(店頭の看板・POPなども含む)は、その物件の業態や第一印象として、入店率・購買率などにも強く影響します。
飲食店であれば、入店前の期待値、通行客の入店率に影響しますし、アパレルでは入店率にも影響します。
店舗の印象をわかりやすく伝えるためにも、ターゲットとなる消費者に合わせた外観も必要になるでしょう。
また店舗の内装も購買率や継続率、ファン化にも大きく影響する要素の一つです。
ファミリー層が多く、来店する客層も家族連れが多い商圏では、大人向けで高級感を漂わせた内装はそぐわないですよね。
(上記の例は極論ではありますが)出店する業態に合わせた地域を選定、または地域に合わせた業種での出店を行い、ターゲットに合わせた内装・外観を用意し、通行量や来店率、継続率なども一定数得られるような証券の選定が店舗開発担当の仕事に求められます。
店舗開発に必要なスキルとは
店舗開発の業務を遂行するうえで、必要な資格はありません。しかし、必要となる知識があります。
こちらでは店舗開発に必要とされるスキルをそれぞれ紹介していきます。
マーケティングスキル
店舗開発には、マーケティングのスキルが必要になります。
なぜなら、どんなにすごい店舗があったとしてもターゲットや市場で求められていない店舗は繁盛することはないケースが多くなっているからです。もし仮に出店できたとしても、その出店した事実やその魅力が市場に伝わることがなければ、来店に繋がることはないでしょう。
そのため、市場の分析やプロモーションなどの販促活動なども含めたマーケティングのスキルは必然的に必要となるでしょう。
売上予測
売上予測は、店舗開発の中でも重要なスキルの一つといえるでしょう。
企業は、出店する店舗が
・その投資した資源を回収できるのか
・利益を返す店舗になるのか
・その収益を返す店舗になるまで何年かかるのか
などを事前に調査します。
企業が1つの店舗を出店する際は、取り返しのつかないことのないように、こういった売上予測を立てます。
交渉・プレゼン力
交渉力やプレゼン力は、店舗開発業務に携わる方にとって、あると大きな手助けになるスキルでしょう。
例えば、優良物件のオーナーには、数多くの出店に関する提案が舞い込んできます。オーナーは、そういったの提案の中から自分にとってメリットのある企業を見極め、決断を下さなければなりません。
あなたは、その提案の中から自社の提案を選んでもらうためにも、自社の出店がオーナーにとってメリットのある出店になるのかを説明することが求められます。
その際、きめ細やかな調査データやWin-Winの関係になれるかどうかを感じ取れるプレゼンである必要があります。さらに、店舗開発側でいえば、条件のいい契約に持ち込まなければなりません。
そのため、交渉力とプレゼンテーションスキルは、磨いておいたほうがよいでしょう。
不動産の知識
条件のいい土地が見つかり、売上予測においていい結果が出ていたとしても、その土地自体に出店できなければ意味がありません。
例えば、用途地域といわれる建築できる建物の種類・用途の制限があって店舗を出店できなかったり、出店する建物が業種に合っていない場合です。
資格の取得は絶対ではありませんが、出店する業態に合わせて身につけておくとよいでしょう。
まとめ:店舗開発の仕事は責任重大!だけどやりがいも!
店舗開発は、多店舗展開する企業にとっては重要な職種・業務の一つ。負っている責任感は重いケースが多くなっていますが、その分やりがいも大きくなっています。
今回ご紹介した内容が、知識を深めるための一つのキッカケとなり、店舗開発の業務に興味をもっていただければ幸いです。